(完)ずっと君といれるなら 〜 別れ 〜
「やっぱ最低、あのクソ男」



ちょっとかっこいいなんて思ってしまった数分前の自分を殴りたい。


海斗は教室の戸締りはすべて私に任せてさっさと部活見学に行ったのだ。


ああ、どこまでもありえない男だ。



「部活何に入ろっかなー」




窓を閉めながら独り言をつぶやいていると後ろのドアから声が聞こえた。


「独り言言う前にさっさと終わらせたら…?」


振り向くとキレる寸前と見られる方が仁王立をしていた。



「みっ美玲! 待っててくれたの⁉︎」



「あんたが待っとけって言ったんでしょ?ったくもう今日は部活見学に早めに行こうと思ってたのに」



「許してくださいー美玲様ー」


この子は相原美玲。
小学4年生ぐらいに同じクラスになって意気投合し、というか私がストーカーばりに追回し今では大の親友だ。



なんて思ってるのは私だけかもしれないけど。



ストレートで艶やかな黒髪、切れ長の目に贅沢な睫毛。
小さな顔に揃ったパーツ。


美玲は学校で文句なしの一番の美少女でファンクラブまで存在する。


何度か芸能界へスカウトされたこともあるらしいし。


性格はというと結構な変人で毒舌でクール。


でも私のことは誰よりもわかってくれていると思う。


大事な人。


そして私は美玲にだけは弱い。



「ほら、手伝ってあげるから」


「ありがとうございます〜」


「はいはい」



呆れた様子でため息をつく美玲を見て微笑んだ。



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