(完)ずっと君といれるなら 〜 別れ 〜
深く溜息をついて、舞友の方を見た。

しばらく、無言が続いたが、舞友はゆっくりと口を開いた。

「なんで…助けたの?」

小さいけど、はっきりとしたその声。

スウッと息を吸って話し出した。

「知ってるでしょ?
私は海斗が好きだった。
いや。きっと今でも好き。
だけど、私じゃあいつの隣にはいられない。
あいつが選んだのはあんただった。
悔しくてたまらなかった。
海斗の1番だったはずなのに。
みんな、認めてるほど仲良かったのに。
あんたなんかよりずっと好きなはずなのに…っ‼︎」

荒い口調でそう怒鳴った。
そんな私の声を遮るように舞友は叫んだ。

「違うっ‼︎
私は小学生のころから好きだった。
大好きだった。
悔しかったのは私の方!
どんなに好きでも、近づきたくても、海斗の隣で笑っているのは葉月だったから。
羨ましくて堪らなかった。
元気で、明るくて、可愛くて、頭が良くて。
なんでも出来て、みんなに好かれる葉月が‼︎
やっと手に入れたの‼︎
両思いを…。」

気づけば舞友は泣いていた。

どれだけ、辛かったんだろう。

1人でどれほどの苦しみを耐えていたんだろう。

静かに話し出した。

「でも。
どんなに嫌いになろうとしても無理だったの。
私は、舞友に憧れてたから。
自分の意見をちゃんと言える舞友に。

元の関係には戻れない。
でも、ちゃんと幸せにならないと許さないから。」

「…うっ…ありっ…がとう…。」

大粒の涙を流す舞友に嫌気が差して大声で怒鳴った。

「わかったかっ‼︎」

舞友はあのころみたいに微笑んで言った。

「当たり前…。」

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