(完)ずっと君といれるなら 〜 別れ 〜
駆け抜けて行った蓮先輩は奪われたボールを取り返した。

「よしっ。」

小さく下でガッツポーズをした。

ボールを取り返そうとする2人の相手チームの選手を交わしながら、蓮先輩は得意の俊足を活かしてゴールの目前までかけてゆく。

そして、ゴールの目の前には海斗がいる。

「海斗っ!」

予想通り、蓮先輩は小さく海斗の名前を呼んでボールをパスした。

ゴールは目の前。

「いっけえええ!」

その叫びの瞬間。

海斗はGKの正面で、強くボールを蹴り込んだ。

右にはいってくると予想したのかキーパーは右へと胴体を動かした。

しかし、海斗が蹴ったボールは弧を描いて左へと入って行った。

キーパーが気づいた時にはもう遅く、海斗のシュートは相手チームのネットを揺らした。

「キャアーーーーッ‼︎」

悲鳴にも似た叫び声がグラウンドを駆け巡った。

「よっしゃあああっ‼︎」

その喜びは保護者やスタンドのメンバーだけのものじゃない。

もちろん、試合に出ているメンバーも最高の笑顔で発狂している。

海斗と蓮先輩はみんなに抱きつかれて揉みくちゃにされている。

あの、樹兎中から一点も取るなんて凄いことだ。

これ、本当に行けるかもっ…。



< 234 / 274 >

この作品をシェア

pagetop