(完)ずっと君といれるなら 〜 別れ 〜
向こうボールから始まった。



やばい…。


さっきのは何だったんだっていうくらい樹兎の動きが違う。

素早い動きと速いパス回しに、翼先輩、蓮先輩がギリギリついて行けているが、他のメンバー、海斗もバテ始めている。

前半の最後らへんまで、必死で点が入るのを防いでいたが、前半のホイッスルがなる直前聞きたくない音が鳴り響いた。

ボールとネットが擦れる音。

樹兎のエースがたった1人でドリブルでこっちの選手を交わしながら駆け抜けて行った。

止まることもなく、エースは右横から鋭いシュートを蹴った。

樹兎中のスタンドからは喜びの絶叫が聞こえた。

私は何も言えずただ、コロコロと転がるボールを見つめていた。


< 235 / 274 >

この作品をシェア

pagetop