(完)ずっと君といれるなら 〜 別れ 〜
そういや、葉月と喧嘩したままだったな。



けど今更思い返してももう遅い。



その思いは頭の隅に追いやって眠りにつこうとした俺の耳に飛び込んできた馬鹿でかい声。



「海斗ーーーーーーーーーっ‼︎」



驚いて車の中から周りを見渡すと目の前の歩道橋に横断幕を持ったよく知った奴らがいる。



そう、俺が大好きな1-Aのメンバー。
そして、サッカー部のメンバー。



横断幕にはでっかくこう書かれていた。



《ありがとう。また出会える日まで。》
〜頑張れ海斗〜



「止め…ろ‼︎」



ついつい力強く言ってしまった。
だけど、そんな俺に文句も言わず父さんはそばにあったスーパーの駐車場に車を入れて行って来いと笑った。



頷いて、そのままあいつらの元へと走った。



たどり着いて、すぐに怒鳴った。



「何でいんだよ!」



「何で黙ってんだよ!このドアホがっ!」



翔吾が俺が叫んだ瞬間言い返してきた。



「みんなお前が好きなんだよ。
嘘つかれて黙ってるわけねえだろ」



勇気も馬鹿にするような顔で言ってきた。



「わかった?うちらの底力。
でもこれって、あんたが残して行ったものなんだからね?」



里緒奈が笑いながら続けて言う。



そして、葉月が俺の前に立った。



何をしてくるかと身構えていると葉月は俺の胸の中に飛び込んできた。



「なっ、何やってんだよ!この馬鹿が!」



俺の胸に顔をうずめたまま曇った声で葉月は言った。



「好きな子いるくせに、照れてんじゃねえよ!」



「はあっ⁉︎」



そう言って離れると葉月の表情があらわになった。



葉月は泣いていた。


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