(完)ずっと君といれるなら 〜 別れ 〜
海斗のお父さんの車がエンジンをかけ、駐車場から出てきた。




海斗は窓を開けて顔を出している。



「行くよ!せーの!」



最後のプレゼント。



「「「海斗がんばれーーー!!」」」



私の合図に合わせ皆で声を揃える。



「頑張れよー!」



「たまには帰って来いよー!」



「プロになれよー!」




車が反対側に移動したら私たちも急いで移動し、声を張り上げ続ける。




横断幕も動かす。



涙が止まらない。



でも続けるんだ。



声が枯れても、絶対に。



「海斗ーーー!またねえ!!」



「頑張れ…海斗」




小さくなっていく車に向かってそっと呟いた。



「あんたのこと好きになって本当に良かった。
大好きだよ
またね、海斗」




初めてで不器用だった私の恋。
届かないことばかりだった。
それでも、私はこの恋と出会えて本当によかった。



海斗と過ごした時間。



悲しいこともあったけど、でも笑顔の時間の方が断然多いんだ。



忘れない。
忘れるはずない。



大事な大事な私の人生の一部。



悲しみに耐え、微笑みを浮かべたその瞬間。


別れのとき。



ーずっと君といれるなら 〜別れ〜 編ー
END
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