(完)ずっと君といれるなら 〜 別れ 〜
「お疲れ様でしたー。」


「お疲れ様ー。」


「おつー!」


長かった練習も終わり、部員達が声を掛け合いながら運動場から去って行った。


私は後片付けがあるから1人でため息をついて部室に戻った。


今まではマネの仕事は一年生の仕事だったらしいけど、私が入部した途端、みんな帰りやがった。


マネ希望者の中にも何人かは使える人いるでしょ…


盛大に息を吐いて砂を掃いて窓をしめ、鍵をかけて校門の方へ歩いて行った。


「葉月!」


「ん?」


誰かの低い声に振り向くと、そこには海斗が立っていた。


「なんだ、海斗か。」


「それが待っててくれた人に言う言葉ですかー?」


「別に待っててとか言ってないし?あんたありがとうとか言ったら、逆に文句いいそう。」


「うるせ」


憎まれ口を叩き合いながらも横に並び歩き始めた。


そう。
私と海斗はご近所さん。
てな訳でもう私たちの喧嘩は近所の名物となっている。


「サッカー部って楽しそうだね」


「まあな。てゆうかお前おじさんたちに言うのか?」


「言わないし。言ったら絶対辞めさせられる。まあでもあの人たち私にはもうなんの期待もしてないけどね」


そう言って俯いていると、海斗は盛大にため息をつき、言った。


「なんかあったら言えよ。詰め込める性格じゃねえんだから。パンクする前にちゃんと吐き出せよ?」


「ー…。ははっ…。」


「何だよ。」


「いーやー…何でもないですよーお。」


いつだって海斗は私の前を歩いてた。
喧嘩したときも。
私を守るように。
そんな海斗がいたから今もこうやって笑えているんだ。

ふいに笑みがこぼれた。



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