(完)ずっと君といれるなら 〜 別れ 〜
お父さんは私を一度だけ見つめて。



だけど、もう2度と見ることはなく、無表情で校門から出て行った。



不思議と涙は出てこなかった。



ボーッと何処かを見つめていた。



すると、右手に温もりが触れる。
滲む目で見ると、右手を握る海斗の姿があった。



「言っただろ。俺を呼べって。助けてやるって」



そう言って笑った海斗。


手に触れる温もりはまるで、私の心を温
めるようで。


魔法のように。
あの時と同じように。



不思議と笑顔になっていたんだ。


< 73 / 274 >

この作品をシェア

pagetop