引き立て役よさようなら(番外編追加)
「あの・・大野さん?」
「達央でいいよ」
「じゃあ・・達央さん。付き合ってみる?って言うけれど
付き合うって・・・愛情があるからするもので、あなたの話を聞いてると
愛情よりも同情って感じがするんですよね・・・」
達央は優花を見つめるとにっこり笑い
「同情ね・・・それはないね。」
あまりにもあっさりと否定する達央に優花は顔をしかめた。
「今日さー。俺、仕事の打ち合わせで飲みたくない連中と飲んでたんだよ。
つまんないから理由つけて逃げようかと思ってたら、斜め前のテーブルで
合コンらしいのやってたからついついみちゃったんだよね。
そしたらさ、優花が一人黙々と飲んで食べてをくりかえりてる訳。
なんか凄く気になっちゃって・・ずっと見てたんだよね・・・・
気になりだしたら止まらなくなって、優花が席を立った時
俺も自然と席を立ってた。
ほんの数分だったけど、もっと優花の事知りたくなった。
それって同情じゃないと思うんだよね。多分俺の・・・一目惚れ。」
「ひ・・・一目惚れ?」
恐らく25年間の人生の中で一目ぼれと言われたのは初めてだったのだろう。
優花はびっくりして椅子から落ちそうになった。
何とか体勢を持ち直したものの、心臓はドキドキするし
何と答えればいいのかもわからなくなっていた。
大体、飲んで食べてを繰り返してるだけの女のどこがいいのか
悩むところだが
ここまでストレートに一目惚れと言われて、正直嫌な気分はしない。
それどころか付き合ってもいいかもと思ってしまう。
それはこの男、大野達央から感じるオーラなのか・・・
「そう。だから付き合ってみない?」
気がつくと優花はコクリと頷いてしまっていた。

自由業といった達央がまさか人気バンド「flyby」のヴォーカルだとは
この時知る由もなかった。
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