引き立て役よさようなら(番外編追加)
・・・え?・・・
おっかけ???
視聴覚室の前の窓から下を見下ろしていると
追っかけ団体の女の子・・・たぶん、近くの女子高生だと思う。
その子が川久保君を見たかと聞いてきた。
「今この下を走ったの見えましたけど・・・」
表情一つ変えずに嘘ついたら
「えーーー?!マジ?・・ありがとう」
と言って走って行った。

しばらくして視聴覚室の扉を開けると扉の横の壁にもたれかかった
川久保を発見。
「行ったよ」
「うん・・・そうみたいだね。なかなかやるね。桐谷」
「そんなことないけど・・・」
すると川久保が手招きをした。
「何?」
「そこの扉閉めてこっち来てくんないかな」
優花は訳がわからないまま扉をしめた。
今度はここに座れと自分の横を指す。
言われた通りに座ると
「ごめんな。なんかこんなことになるなんて思わなくってさ。
まともに休憩もできねぇ。桐谷も・・・休憩?」
「うん。川久保君のお陰でとても楽させてもらったけどね」
「楽って?」
「川久保君達のバンドの演奏が始まった途端みんな体育館に行っちゃって
私は一人で店番だったの。今もそのご褒美で休憩してるとこ」
「え?!マジ?じゃあ・・・俺らの演奏聞いてないんだ。」
川久保はあからさまに変な顔をした。
「・・そうだけど」
別にそんなに残念そうな顔しなくてもいいのに・・・と思いながらも
「でも熱気は教室からも伝わったしね。」
そう言って川久保の方を見ると
ポケットから何かを出した。MDプレーヤーだった。
「音悪いんだけど、これ練習していた時のを録音したやつなんだ。
 聞いてみて」
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