引き立て役よさようなら(番外編追加)

ファンの一人として

達央が仙台から帰って来ると真っ先に優花の部屋にやって来た。
開口一番
「どんなお客に好きだって言われたの?若いの?おっさん?」
ここで若いのって言えば根掘り葉掘り聞かれるのは間違いない。
「え~~っと。いつもよく電池や蛍光灯とかこまごました物を買いにくる
おじいちゃんだよ」
川久保をおじいちゃんに仕立ててしまった事を心の中で謝った。
優花の言葉に達央はなんだよ~と壁にもたれかかりながらずるずると
しゃがみ込んだ。
大きな会場でたくさんの人を感動させた人が
優花の前ではただの男・・・それが優花には愛おしくて堪らなかった。
しゃがんだままの達央と同じ目の高さまでしゃがむ。
「だから言ったでしょ?それだけだって・・・」
達央の手が伸びて優花をその場で抱き締めた。
「ヒヤヒヤしたんだからな。」
達央の鼓動が優花にも伝わる。
ライブで見る達央も好きだけどやっぱり素の達央が優花は好きだと思った。
自分だけに見せる顔・・・
このたくさんの表情の達央を自分にだけ見せてほしいと
心から思いながら
優花は達央との短い時間を大切にしたいと思った。

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