引き立て役よさようなら（番外編追加）

「優花！」
達央よりほんの少し先を楽しそうに歩く優花を呼びとめた。
立ち止まる優花に達央は少し早歩きして優花の傍まで近づくと
手を差し出した。
「ほら・・・手・・・つなごう？」
達央と付き合いだして随分経つがストレートに手を繋ごうと
言われたのは初めてで優花は目を見開いた。
なかなか差し出した手に優花の手が触れてこない事に
達央は首をかしげながらどうした?と聞くと
「なんか好きな人と手を繋ぎながら海辺を歩くのって
ドラマかなんかみたいで・・・」
今のはマジでいってんのか？と一瞬固まったが
それはマジだったようで優花は顔を赤らめながら照れていた。

はっきり言って今までも達央だったらこんな事を自分から
決して言いだしたりしなかったはず。
だけど優花に出会ってからの達央は違った。
こんなこっぱすかしい事も優花の前では自然と出来る。
それが映画やドラマのワンシーンの様な一見恥ずかしそうなことも・・・
「だったらとことんドラマみたいにしてみない？」
こんな台詞も平気で言えるんだから恋愛ってすごいと達央は感じていた。

達央は優花の手を掴むと、グイっと自分の方へ引き寄せた。
お互いの顔が一気に近づく
「達央さん？」
「きっとこれが映画やドラマのシーンだったら手を繋ぐよりも
・・・・これじゃない？」
達央の顔が斜めに傾くとお互いの唇が触れ会う。
優花がびっくりして目を開けると達央は目を細め口角を上げ
「目を瞑ってくれないと・・・・」
そういって再び唇にキスをした。