引き立て役よさようなら(番外編追加)

もうすぐ会える?

達央のヴォーカルのレコーディングが終わり
全てのレコーディングが終了した。

今はプロデューサーの高木とメンバー4人そして、エンジニア
でミックスダウンに取りかかっていた。

高木とはflybyの2枚目のアルバムからの付き合いになる。
メンバーの中ではもう一人のflybyメンバーともいわれるほどの仲だ。

「お前らな~~あんまり俺を困らせるなよ」
エンジニアの森下もflybyとの付き合いは長い。
達央の音へのこだわりはエンジニア泣かせと言われるほどだが
そんな達央の無理な注文も森下だからこなせていた。
「いや・・ここのトーンははブーストさせてさ・・・ギターの・・・ここ少しカット
した方がいいんじゃない?」
「・・・ここはもっと達のヴォーカルだしてもいいじゃない?」
いろんな意見が飛び交う中
高木が達央を呼びだした。
人差し指を立てる・・・屋上行くぞという合図でもあった。


「何か話でもあった?」
煙草を吸いながら屋上のフェンスにもたれかかるとそのままずるずると
しゃがむ達央に高木はニヤリと笑った。
「今までお前たちとアルバム作ってきたけど今回ほど
 面白いレコーディングなかったな・・・」
口角を上げながら高木も煙草に火をつけた。
「面白い?」
何が面白いのか達央にはわからなかった。
「いや・・・今までのお前って自分だけの世界観があってそれを
 独特の解釈で表現してたんだよな。それがさ・・・今回急に人間臭く
 なったと言うか・・・表現がストレートになってきたんだよな。
 これってさ昔からのファンの反応が気になるとこなんだけど
 俺は好きだよ。だから自由にやらせたんだけどさ・・・
 ・・・・実際のところ何があったんだよ。何かなきゃこんな歌詞かけねーよな。」
意地悪い顔の高木が煙を思い切り吐いた。
 「今までは自分のやりたい事を好き勝手にやってきたんだけどさ
  出来ちゃったんだよね・・・守りたいものがさ・・・」
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