引き立て役よさようなら（番外編追加）

「優花・・・」
ふいに名前を呼ばれ顔を上げると目の前には真剣な表情の達央が優花を見つめていた。
「これからアルバムのリリースに伴って、取材も増える。その中で今日撮影した
ＰＶのことも聞かれると思うけど・・・・俺は優花の事を隠すつもりはない。
迷惑かけるかもしれないが、ちゃんと守るって決めたから、ついてきてほしい」
達央の言葉には強い決意を感じた。
優花もそれに答える様に、はいと返事をした。

優花の返事を聞いた達央は、は～っと安堵の溜息をついた。
「これであの外科医も文句言えないな！」
誇らしげにつぶやく達央見てたら優花の緊張もほぐれてきた。
それから２人は横田の用意してくれたご馳走を堪能した。

時計を見るともうすぐ日付が変わろうとしていた。
「あの・・・達央さん」
「ん？」
「私・・そろそろ帰りますね」
笑顔で立ちあがる優花に達央の目が点になる。
「はい？！帰るって・・ちょ・・え？それ冗談だよね」
「だって・・・明日仕事なんで・・・」
それにも目が点になった。
「へ？仕事？」
全身の力が抜けるとはこういう事か・・・
「うん・・・でも明日は遅番なんで出勤は１１時だけど・・・」
今日のシフトは聞いていたが明日のシフトまでは
把握していなかったため、文句も言えなかった。
だが、帰るとかありえない！どんな思いでここまで頑張ったと思ってるんだ。
絶対帰さない。・・・・遅番か・・・だったら・・・
達央は立ちあがると優花の腕を掴んだ。
「ぜーったい帰さないよ。どんな思いでこの日を待ってたかわかる？
　仕事なら俺が送ってくから。帰っちゃダメ！」
「達央さん・・・・」
「それとも俺と一緒にいたくない？」
優花はぶんぶん首を横に振った。
「一緒にいたい。だけど本当に明日仕事だし・・・・迷惑かけたくなくて・・・」
俯く優花の身体を包み込むように抱き締めるた。
「優花の迷惑なんて迷惑の内には入らないの。だから・・・
　ずっといてよ・・・」
達央の手が俯いて下を向いている顎にかかると、くいっと上に向けると
優花の、目は少し潤んでいる様に見えた。
達央の顔が近づくと優花も自然と目を閉じた。