引き立て役よさようなら(番外編追加)
裏口のドアの前に横付けすると横田は優花と川久保にバックステージパスを
2枚さしだした。
先に降りてと促され、優花たちは車から降りるとすぐに中へと入った。
この会場を知り尽くしているかのように川久保が優花の1歩前を歩く。
優花は初めて入る場所に緊張しながら川久保の後ろから付いていく。
そのうちに音が聞こえ始める。
いろんな人の声と楽器の音が飛び交う中
到着したのはステージの袖
その位置からステージに視線を移すとそこには
達がいた。
優花といる時の大野達央ではなくflybyの達だった。
入念にサウンドチェックをしながらスタッフに細かい指示を出していた。
その姿はまさに人気バンドのフロントマンだった。
優花がきていることに全く気がついてない様子だ。
そんな達の姿を川久保も真剣に見ていた。

「音入りまーす」
スタッフの声にがやがやしていたステージが一気に
静かになる。
達はエレキギターからアコースティックギターに持ち替えた。
達央以外の3人はステージにお尻を向けそれぞれが使う楽器の
調整をしている中で
達央だけがマイクに向かっていた。
マイクスタンドの位置を両手で調整し終えると
足でカウントを取りギターを鳴らす。
その歌は優花のために作った今日でもある
『そのドアを叩いたら』だった。
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