引き立て役よさようなら（番外編追加）

「優花？」
黙って見ている優花に達央が声をかけた。
「・・・・夢じゃないんだよね・・・ここにいる事も、達央さんと結婚して
奥さんになれたのも・・・夢じゃないんだよね」
窓ガラスに映る達央が優花を見つめるとさっきよりもきつく抱き締めた。
「夢じゃないよ・・・ここにいる事も、俺の奥さんが優花だって事もね・・」
優花は抱き締める達央の手に自分の手を重ね、夢じゃない現実を
心から喜んでいた。
「優花・・・」
「何？」
「俺達結婚したよね」
「うん」
「新婚なんだよね」
優花の肩から覗き込むように見る顔はさっきまでの優しい顔とは
打って変わって、まるで何か企んでいる様な顔に見えて優花はなぜか身構えた。
「そ・・・そうなるよね・・・うん・・・」
達央は抱き締めていた腕を緩めると優花と向かい合わせになった。
「じゃあ・・・今日は新婚初夜って事になるよね」
返事をする間もなく達央は
優花を抱き締めると素早い動きで優花の唇を塞いだ。
結婚して初めてのキスだった。
息をする余裕がなくなるほどの濃厚なキスに優花の身体が痺れ始める。
ふと唇が離れると口角を上げた達央がニヤリと笑った。
「夢じゃないって事をこれからじっくり実感させてやるよ」