引き立て役よさようなら(番外編追加)
「へ~~。ゲームショップの店員なんだ~。そんな感じには見えるよね」
今、優花は一番会いたくない人と強制ランチタイム中だ。
しかも不機嫌全開で、駅ビル内にある人気のパスタ屋にいる。
パスタを食べ終えて食後のアイスコーヒーを飲んでると
美由紀は本題に入った。
バッグから1枚の名刺を差し出した。
「なに?」
優花はその名刺を受取ると名刺に書かれてる名前をみて目が1.5倍大きくなった。
「こ・・これって・・・」
少し皺くちゃになった名刺は
先日の合コンで渡された桜沢からの名刺だった。
美由紀は不機嫌そうに優花を見ながら
「頼まれたのよ。」
「頼まれた?」
「私が優花の友達だって言ったら、この名刺を優花に渡してくれって」
・・・マジかよ
「でも私は受け取れないよ・・・」
「そうよね~~あんたにはサブローがいるんだから・・・」
なんか美由紀がサブローっていうとなんか舎弟みたいに聞こえる。
名前の選択をミスったと優花は心底後悔。
「はい。私にはサブローさんがいるんでこれは受け取れないよ」
すると美由紀の顔が急に明るくなる。
「じゃあさ~。これ・・・私に譲ってくれない?」
そうきたか・・・
優花はじっと名刺をみつめた。
達央が突っ返した時に桜沢が言った「俺、諦めないから」といった言葉は
まんざら嘘じゃないとわかった。
「ごめん。とにかくこの名刺受け取れないから。」
「じゃあ~譲って・・・」
「それは自分でアタックしたら?得意でしょ?・・そういうの・・」
時計を見るとあと10分で休憩が終わる。
優花は名刺を見つめる美由紀の前にランチの代金を置いて
「お先」
そういって早歩きで戻る。
その途中、メールの着信に気がつく。
相手は達央だった。
『サブローでーす。今、休憩中。あと1週間、ゲームも優花も
なしの禁欲生活は厳し~~』
優花はフッと笑うと
「がんばれサブロー」と返信して自分の持ち場へと戻った。
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