私がお嬢様をやめる時
「ちょっと待ってて。」

水嶋は何かを見つけて走って行った。
私はたまたま
空いたベンチを見つけて
そこに座ってクリスマスツリーを
眺めながら待っていた。



水嶋と恋人同士になれたら
こんな風に過ごせるんだ…

でも、それは叶わない。
私の気持を伝えたら
きっと水嶋は執事をやめちゃう。
水嶋との日常は手放したくない。

「はい。」

私に差し出された紙コップ。
白い湯気の立つ飲み物。
嗅いだことのない香りがした。


「なにこれ。」


キョトンとして受け取る。


「甘酒。知らない?」


水嶋はそう言いながら横に座る。
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