私がお嬢様をやめる時
お父様はしばらく考えて
やれやれ…とばかりにため息をついた。

「お前の母親を亡くしてから
わたしは
どうすればいいかわからなかった。

だから、使用人にお前達を任せて
仕事に逃げた。

生活には何不自由ないように
金はいくらでも渡した。
わかっていたよ。
それが間違っている事は。

菜々穂がワガママになっていくのは
家族の愛が足りないという事も。

だが、どうすればいいのかわからなかったんだ。

許してくれ。」

やっぱり。お父様はお父様なりに
私のことを考えていたんだ。
それが聞けて安心した。


「水嶋くん。ありがとう。
菜々穂を支えてくれて。
菜々穂と
こうして本音をぶつけ合ったのは
初めてだ。

君たちの交際を認めよう。」


お父様はよろしく。
と水嶋と握手をした。
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