私がお嬢様をやめる時

「私、ずっと思ってたんだけど
水嶋さんて菜々穂のこと
好きなんじゃないの？」

玲奈の一言にドキっとする。
まさか、そんな事ありえない。


「玲奈、冗談言わないでよ。
水嶋は雇われてやってるだけのこと。
私に何かあったらクビになるからよ。」


玲奈はため息をついて


「だーかーら！
クビになったら菜々穂のそばに
いられなくなるから
ああやって守ってるんじゃないの？」



…そんなことあるわけない。


「逆にさ、菜々穂って水嶋さんの事
どう思ってるの？」


清美がいきなり変な質問をしてきた。


「はっ！？」


私は紅茶を吹き出しそうになる。


「私ね、思うんだけど水嶋さんに
菜々穂が素直じゃないのって
水嶋さんに
構って欲しいからじゃないの？

無表情の水嶋さんに不満なのって
好きだから
笑いかけて欲しいんじゃないの？」


ほほほほ…
清美ちゃんまで何を…

「あ！それ私もずっと思ってた！
やたら菜々穂って
水嶋さんのことこだわるし。」


玲奈まで賛同する。


「ふ…二人ともやめてよ。」


「本当はずっと前から
水嶋さんのこと好きなんでしょ？
でも、それに気づかないフリして
山崎に惹かれたと思い込んで
水嶋さんを忘れようと
焦ってたんじゃないの？」


あーあ…
親友には敵わない…

私はバンッとテーブル叩いた。
二人ともビクッとして私を見る。