私がお嬢様をやめる時

階段を降りると
無数の学生たちが
何かを取り囲むように見ている。
その先にいたのは

菜々穂と水嶋さんと山崎だった。


水嶋さんは
無抵抗で何発も殴られている。


その瞬間
菜々穂の相談事を思い出した。


「ねぇ、二人って
ヤキモチ妬かれたことある？」


眉をハの字にして
なんだか悩んでる菜々穂。
なんだ、オノロケか…


「恭平が俺以外の男と話すなって。
菜々穂は俺のでしょ？
って言われたんだけど…

それに、若い教授だけじゃなくて
けっこうおじいちゃん教授でも
同じこと言うんだよね。」


独占欲が強い男は正直面倒。

私の彼氏にする条件には
「嫉妬しないこと」が含まれている。
嫉妬する男は
私の恋愛スタイルに向いていない。

でも、菜々穂みたいな
普通の恋愛にはつきもの。
菜々穂だってそういう気持ちあるはず。


「嫉妬されるのは
愛されてる証拠じゃない。
菜々穂が
火種を作らなければいいだけよ。」

そう言って私と清美は軽く流した。

でも事は深刻だったようだ。


もっとちゃんと
話を聞いてあげればよかった。

おじいちゃん教授にすら
嫉妬するような男が
水嶋さんのような
若くてイケメンの執事に
嫉妬しない訳が…