影踏み鬼と鋼鉄の檻
第0歩~そのまた昔~
『くっ......くるなぁぁぁっ!!!!!!!』

男は叫ぶ。叫び続ける。

『ひとーり....ひとーり....あとひとり...』

鬼は歌う。歌い続ける。

男は考える。
あと少し、あと少しだけで良い...!なんとか今逃げ延びればッ......!!

だが、現実は上手く行かないものだ。
背後にもう1人の鬼が迫っていた。

前方には歌い続ける鬼が。

逃げ場はない。ない。どこにも、ない。

背後の鬼が呟いた。
『もう...日が暮れてしまう』

男の足元が揺らぐ。
足が、地面に、吸い込まれていく。
『いッ...嫌だ......!!やめ...てくれ......!!!!』

ふと、前方の鬼が男に囁いた。
『大丈夫、私達とずっと一緒に遊びましょ』

ズズ......ズズズ......トプン............

男は居ない。もう。この世には。

ここに居るのは


子供の姿をした2匹の鬼だけ。
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