先輩と私
『…どうしよう。どうしたらいい?新先輩……だって…失いたくない。でも…好きになっちゃった……』


手で顔を覆い下を向く。

そんなあたしにえりは優しく頭を撫でてくれた。

瞬時に新先輩に頭を撫でて貰ったあの日を思い出す。

「全く…ゆずはぶきっちょさんだなぁ」

ため息まじりにえりは笑った。

「恐いから告白しないの?」

『………』

「告白しないで、ずっと引きずる方がよっぽど辛いよ?」

『でも……』

「失いたくないって?失うって決まった訳じゃないでしょうが!」

『あたっ』

コツンと頭を小突かれた。

「女は、恋をすればする程いい女になるのよ」
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