先輩と私
それでもあたしはそっぽを向いたまま。


「ゆーちゃん?ゆーずちゃーん?」


先輩は更に甘えた声で呼び続けていたかと思うと、急に静かになった。




ん?やりすぎた?


あたしはちょっと心配になり先輩を見ようとすると急に背中に重みを感じる。


そして肩に暖かい風がかかる。



冷静に今の状態を理解しようとする。



つまり。
今あたしは先輩に後ろから抱きしめられる……というか、股に挟まれてるような体制。


そして先輩の顔があたしの肩に乗せられている。










何でしょうコレは。



耳元で先輩は

「ごめんな?」
と謝ってきた。

先輩の息が降り懸かりゾクッとする。


あたしはとっさに“ハイッッ!!”と返事した。

てか!最初からそんな怒ってないし!



「良かった♪」


先輩はそのままあたしに体重を少しかけてきた。



てか、…めっちゃ背中に密着なんだけど。



ドキドキして、身体が固まったまま。

でも……凄く落ち着く。


好きだなぁって思う。

だって全然嫌じゃないもの。


この沈黙も、背中の重みも、温かさも…。


「あー…すっげぇ落ち着く」

先輩もそう思ったのか呟いた。
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