おにぎり屋本舗 うらら
うららは体をびくつかせ、怯えていた。
あのコンビニ強盗よりも、目の前の警察官の方がよっぽど怖い。
本当のことを言っているのに、信じてもらえない。
涙目で同じ話しを繰り返すうららと、怒鳴る取調官。
同じ状況が一時間続いて、ドアがノックされた。
入って来たのは、黒いスーツの男性。
やけに整ったその顔を見て、うららは指を差し叫んだ。
「ああっ!昨日の人!
カッコイイけど、恐いお巡りさんっ!」
入って来たのは、小泉だった。
昨日交番におにぎりを届けた時、杉村と話していた警察官だ。
取調官は小泉に敬礼をしてから、
「何かありましたか?」
と聞いた。
小泉は取調官の肩に手を置き言った。
「こいつは違う。
見ての通り、ボケッとして頭の悪そうな、おにぎり屋の小娘だ。
現場の店の前で、金銭をやり取りする強盗がいると思うか?
犯人が意味不明なことを言って金をくれたのなら、そいつの頭がイカレてんだろう」