おにぎり屋本舗 うらら
「し、しかし…小泉警部…」
取調官は小泉より10ほど年上に見えるが、階級は下らしい。
小泉に否定され、困り顔で言いにくそうに
「もう少し調べた方が…」
と反論する。
小泉がテーブルを叩いた。
目つきを鋭くし、取調官に顔を近づけて話す。
「こいつは杉村警部が可愛がっている、おにぎり屋の娘だ。
白に決まっているが、お前がもっと取り調べたいなら、そうすればいい。
俺は、杉村警部に報告するだけだ」
杉村の名が出た途端に、取調官はガタンと椅子を鳴らして立ち上がった。
青い顔して小泉に言う。
「あ、あの、私は調書を作成しなけれはならないので、これで…
このお嬢さんのことは、小泉警部にお任せしてもよろしいですか…?」
「ああ。任せろ」
取調官はそそくさと出て行った。
うららは状況が良く分かっていなかった。
ポカンとしながら、小泉の端正な顔を見上げていた。