おにぎり屋本舗 うらら
ゆっくり慎重に下りる小泉が、4階辺りまで来た時、
熱気を含んだ強いビル風が吹いた。
途端に体が流される。
うららの頭を壁にぶつけそうになり、
小泉は右手をロープから離した。
左手一本で二人分の体重を支えながら、右手はうららの頭を守っていた。
風で揺れるロープに片手で食らいつく。
その手は汗で滑り、一気に落下した。
皆が肝を冷やす中、小泉は2階辺りで何とか落下を止める。
小泉の顔は険しかった。
左手の力は限界に近付き、手の平から血が染みだしている。
下まで後数メートル。
風で体が揺れる中、ゆっくり慎重に下り、
最後は消防士に抱えられて地に足を付けた。