おにぎり屋本舗 うらら
圭は尻餅をついたまま、固まっていた。
気持ち悪い物を見た…
そんな気分だった。
一瞬だけ見えた男の口元は、薄く笑っていた。
目は血走り、焦点が合っていなかった。
その目に映る物は、圭と同じ世界ではなく、別次元の別世界…
そんな感じを受けた。
圭の腕に鳥肌が立っていた。
男が市役所の敷地から出て行くのを呆然と眺めていたが、
ハッと我に返り、立ち上がった。
母親に書類ケースを渡さねばならない。
圭は前を向いて歩き出す。
低い階段を三段上がり、自動ドアの前に立った。
その時…
耳をつんざくような凄まじい破壊音が響いた。
自動ドアのガラスが、粉々に砕け散る。
それと同時に、圭の体は数メートル後ろに吹っ飛ばされていた。