おにぎり屋本舗 うらら
 


圭が地獄絵図を、放心して見続けていると、

消防車のサイレンを聞いた。



その音で気持ちを取り戻す。


途端に凄まじい恐怖に襲われ、ジリジリと後ずさり、その場を逃げ出した。



走って、走って、向かう先は、500メートル離れた場所にある警察署だ。



そこには圭の父親が勤務していた。



母親が死んだことを報告しなければ…

いや、父親に会って少しでもこの恐怖を和らげたかった。



全力で走り、たどり着いた警察署は…

燃えていた。



鉄筋コンクリートの建物入口が、崩れている。


その壊れ方を見れば、中で爆弾が炸裂したとすぐに分かった。



建物周囲には、数人の警察官が倒れていた。


圭はその中に父親を見つける。



「親父っ!!」



駆け寄り抱き上げた父親は、やけに軽かった。


恐る恐る父親の体を下に見て…

下半身がちぎれ、無くなっているのを目にした。



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