おにぎり屋本舗 うらら
湯傘には、信者に産ませた娘が一人いた。
名前は“アバタリ”
アバタリという名は、ヒンズー語で“神の化身”という意味だ。
出生届が出されていないので、戸籍はなく誕生日も不明だった。
事件当時の推定年齢は8歳。
彼女は信者から“聖女アバタリ”又は“姫様”と呼ばれていた。
その女児がどうなったのか…
アバタリは新たな名前を付けられた。
それまでの記憶を封じられ、新たな人生を送っていた。
それを知る者は、限られている。
彼女の存在は、警察組織の上層部により機密事項とされた。
その理由は、幼い彼女の為であると同時に、
末端の信者達が彼女を中心に集まり、“破壊の光”が復活するのを防ぐためだ。
聖女アバタリの名前は、闇に葬られた。
事件から10年後の今も、
彼女は存在してはいけないのだ。
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