おにぎり屋本舗 うらら
 


地下鉄3駅先で下り、大学病院の敷地に入ると、

見事なイチョウ並木と、
黄金色の落ち葉の絨毯が伸びていた。



うららは子供のようにはしゃいで楽しそうだ。



「ほれ、早くしなさい。
予約の時間に遅れるよ」



梢はうららをたしなめ、病院に入って行った。




大学病院の広いフロアは、道内各地から来た外来患者でいっぱいだ。



うららと梢は、混み合う外来を抜け、エレベーターに乗り4階へ。



奥に奥に進むと、“特別診察室E”と書かれた部屋に行き着いた。



うららがノックする。


部屋の中から「どうぞ」と男性の声がした。



中に入ると、一般的な診察室とは違う、不思議な空間が開けた。



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