おにぎり屋本舗 うらら
必死の上島を見て、及川は鼻で笑う。
「君のバイト先のコンビニ店長田中は、昨日のシフトに君は入っていないと言ったのだよ。
昨日深夜のシフトは、田中店長と、大学生アルバイト鈴木の2名。
鈴木も昨夜は店長との二人勤務で、君はいなかったと証言している」
「う、嘘だっ!」
上島は青ざめていた。
唇を震わせ冷汗を流しながら、店長らの供述が嘘なのだと主張した。
及川はスーツの胸ポケットからハンカチを取り出すと、眼鏡のレンズを拭き始めた。
曇りがないことを確認しながら、ゆっくり丁寧に拭いている。
及川は言う。
「殺害現場は、君と被害者が暮らすアパート。
室内には無理やり侵入された痕跡はなかった。
となると、犯人は被害者にドアを開けてもらった、又は鍵を持っていた、もしくは部屋にいた。
つまり、被害者の親しい人物という訳だ。
凶器の包丁からは、君の指紋以外見つかっていない。
誰がどう考えても、君が犯人だろう。
いい加減に白状したまえ、上島君」