おにぎり屋本舗 うらら
小泉は周囲を警戒しながら、うららを抱き寄せ、耳元に口を寄せる。
黒い短髪から雪が雫となり、ポタリとうららの衿元に落ちてきた。
大人の香りがふわりとして、うららは赤くなった。
小泉が彼女の耳に囁く。
「お前に言っておくべきことがある。
杉村警部を信じるな。
おにぎりの配達以外で、接触するな。
分かったか?」
うららはポカンとしていた。
言葉の意味は分かるが、
なぜそんなことを言われるのか分からない。
うららにとって杉村は、いつもニコニコして優しい街のお巡りさん。
信じるなと言われても、困ってしまう。
不思議そうにしているうららだが、小泉はそれ以上説明する気はないようだ。