おにぎり屋本舗 うらら
「俺じゃない」と無実を訴える容疑者上島を見て、
冤罪防止対策室の室長として、小泉は動き出した。
まずは上島の言ったことが本当だと仮定し、捜査を進めた。
及川達捜査一課は、店長田中とアルバイト鈴木から、殺害時刻に上島は店内にいなかったとの証言を得ているが、
小泉はそれを疑問視し、裏を取るため店の防犯カメラを調べた。
すぐにおかしいことに気付く。
店に一台しかないカメラが、なぜレジ前ではなく、菓子の商品棚を映しているのかと。
それは恐らく、店員の姿を映さないようにする為だろう。
深夜のコンビニは酒やつまみ、飲料や弁当類が売れても、菓子はほとんど売れない。
従って、菓子棚に商品補充の必要がないから、店員は菓子棚の前に行くことがない。
殺害時刻、店員の姿が映らない位置にカメラを向けた理由は、
上島がその時間にアルバイトをしていたとのアリバイを作らせない為…
小泉はそう考えていた。
小泉は何度も映像を繰り返し見た。
何か、上島のカケラでも映っていないかと。
そして見つけた。
上島のアリバイを証明する物を。