おにぎり屋本舗 うらら
 


上島は疑いが晴れたことにホッとした後は、亡き恋人を想い泣いていた。



及川はギリリと歯ぎしりをした。


またしてもSMRにやられた。

それに加え、真実を突き止めた小泉が、少しも得意げな顔をしないことも悔しかった。



小泉は溜息を一つつき、及川に聞く。



「どうする?店長田中とアルバイト鈴木は、SMRが引っ張るか?」



及川はガタンと椅子を鳴らして立ち上がる。

返答しない代わりに、取調室の電話の受話器を荒々しく手に取った。



「及川だ。上島は白だった。
田中と鈴木を、今すぐ任意で連れてこいっ!」



どうやら真犯人の取り調べは、及川がやるようだ。

それが分かると、小泉は無言で取調室を出て行った。




 ◇◇




それから一時間後、小泉は現場に戻った。

隣にいるのは彼の部下、知本。
小泉を慕う、SMRの若い刑事だ。


二人は並んで、絨毯に染み付いた赤黒い血痕を見ていた。



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