おにぎり屋本舗 うらら
周囲がワッと湧いた。
SMRだけでなく、警察全員が彼の生還を喜んでいた。
小山内本部長は、目頭を押さえている。
「無茶しやがって…馬鹿野郎が…」
そんな独り言を呟いていた。
うららは…
うららの背から、毛布が滑り落ちた。
小泉の名を呼び、喜びの中、駆け寄っていく。
うららに勢いよく飛びつかれ、小泉は痛みに呻いた。
「ぐぁっ…
うらら…今抱き着いてくんのは、勘弁してくれ…」
うららは、慌てて離れた。
重傷の小泉に、何てことをしてしまったのかと、
ハッと気づいて5メートルも後ろに飛び退いた。
その極端な行動に、小泉は可笑しくて笑った。
それからポケットに手を入れ、何かを取り出した。
それをうららに、ポンと投げて寄越した。
うららの手に飛び込んだ物は、桜のネックレス。
小泉が誕生日プレゼントと称してあげた物だ。
手の中のそれを見て、うららは自分の首をペタペタ触った。
絶対に外すなと言われたネックレスが首に無いことに、今やっと気づいたのだ。
小泉はまた笑った。
面白い奴だと、その間抜けた所を、好意的に思っていた。
―――――…