おにぎり屋本舗 うらら
梢がカウンターの向こうで、三人分のおにぎりを握り始めた。
SMRの三人は、口々に小泉について語る。
「小泉警部は頑固ですからね。
完治するまで会わないと決めたら、それを貫く。
うららちゃんが可哀相です」
「室長に、女心が分かるわけないっすよ〜」
「仕事ができても、女に関しては不器用と言うか、不慣れと言うか…
良く言えば、硬派。
悪く言えば、堅物の女泣かせだな」
本人がいないのをいいことに、好き勝手言い合う三人と、
どんより暗く沈んだうらら。
そこに、低い怒ったような声が響いた。
「頑固で堅物で、女心の分からない男で悪かったな…」
ガラリと開けられた扉。
外の冷気と共に入って来たのは、久しぶりの小泉だった。