おにぎり屋本舗 うらら
小泉は、しっかり両足で歩いていた。
黒いスーツに黒いコート。
その姿は堂々として、ついこの前まで重傷だったことなど、微塵も感じさせなかった。
小泉にギロリ睨まれ、SMR3人は肩をすくめた。
「あ〜やっぱ、ここのおにぎり、超美味いっすね〜
チョコバーより、美味いかも〜」
芹沢がそう言ったのを皮切りに、三人は話題をおにぎりにすり替えた。
うららは今にも泣きそうな顔をした。
「私… 小泉さんに嫌われたかと思って…」
胸が一杯になり、その後は言葉にならなかった。
両手で顔を覆い、メソメソ泣いている。
うららの頭に、大きな手の平が乗った。
優しくあやすようにポンポン叩き、小泉は「悪かった」と謝った。