おにぎり屋本舗 うらら
 


ここにシバの宗教画が飾られているからと言って、破壊の光と関係があるとは言えない。


ただ美術品のように思い、飾ったのかも知れないし、

シバを奉る宗教団体は、破壊の光以外にも沢山ある。


第一、破壊の光は十年前に解散させられ、消滅したのだ。

今は存在しない。




小泉は長い息を吐き出し、気持ちを落ち着かせた。


シバから目を離し、隣に貼ってある一枚の写真を見た。


それは幼い少女の写真だ。

数年の月日が経ったように見えるその写真は、被害女性の子供の頃だろうか…

小泉はそう予想して写真を見ていた。



歳は7、8歳くらい

白いワンピースを着て、肘掛け付きの椅子に座っている。


前髪はなく、長い髪の全てを頭上で巻いてあり…まるでシバのような髪型だ。


真顔で写真に映る少女の白い額には、髪の生え際に小さなほくろがあった…



小泉は携帯電話を取り出し、カメラ機能で写真の少女を写す。


この少女が何なのかと、知本が聞いたが、小泉は答えられなかった。


自分でも分からない。
何かが引っ掛かる。それだけの理由だ。



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