おにぎり屋本舗 うらら
うららは注意力に欠ける所がある。
今初めて黒スーツの男の存在に気付いた。
歳は20代後半くらいか、
スーツにシワはなく、白いワイシャツもパリッとして清潔そうだ。
黒い短髪、褐色の肌
切れ長の二重の瞳が綺麗だった。
うららは思う。
この人…カッコイイのに何をやったのだろう?
交番にいるからには、何かをやらかして取り調べを受けているに違いないと考えた。
痴漢? 万引き? 下着泥棒?
その考えは口に出ていたらしい。
「違う。俺は警察だ」
ムッとした顔で、その男は言った。
杉村はワハハと大声で笑い出した。
他二人の警察官も、釣られて笑った。
杉村の説明に寄ると、彼の名前は“小泉”
北海道警察本庁の、エリート刑事だと教えてくれた。
エリート…うららには馴染みのないその響きに、感心しながら彼を見ていた。
一方小泉は、うららに少しの興味もないようだ。
うららの視線を無視し、筋子のおにぎりを食べ出した杉村に、話しかける。