おにぎり屋本舗 うらら
 


公務執行妨害で捕らえられた男は、その場で覚せい剤取締法違反で逮捕された。



車に乗せられる男の名前は、高須文也。

麻薬取締部の捜査4課と、小泉達SMRが睨んでいた男だ。



その車が走り去った後、
小泉が切れた唇の血を親指で拭いながら、うららに近づいて来た。



言葉の出ないうららの前で、彼は大きなため息をつく。



「お前は、なぜこうも現場に現れる?」



そんなことを問われても、うららは答えられない。


全てが偶然のはず。

うららはただ、おにぎりを配達しているだけなのだ。



小泉は落ちているうららの傘を拾う。

もう一方の手で、うららの手首を握った。



「お前は無関係だと信じているが、なぜかお前は薬を持っていた。

このまま帰すわけにいかねぇんだ。

悪いが、一緒に来てくれ」




覚せい剤入りの飴玉の袋を持っていたのは、うららだ。


引ったくられた訳だが、うららが高須文也に渡したのだ。



覚せい剤の受け渡しに関与してしまったうららは、小泉に警察車両に乗せられた。



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