おにぎり屋本舗 うらら
未練と夜街の炎
◇◇◇
黒飴覚醒剤事件から三日後。
小泉は札幌駅から少し離れた場所にある、とある商業ビルに向かっていた。
気になることがあった。
覚醒剤所持容疑で逮捕された、高須文也の自宅アパートに、
二度目の家宅捜索が行われた時の話しだ。
自宅から覚醒剤は見つからなかったが、
500万円もの大金が、冷凍庫内のアイスクリームの箱から見つかった。
なぜ専門学校生の高須が、
そんな大金を持っているのか…
その理由は小泉が考えていた通り、
彼に金を渡し、覚醒剤の買い付けをさせている奴が背後にいるからだ。
高須の周辺を探り、学校、アルバイト先、数少ない友人…
彼と繋がりがある場所は、今捜査4課が当たっている。
小泉は別の物に目を付けた。
高須の財布の中から、ノートを破ったような紙片が見つかった。
4課の刑事が捨てそうになったそれを、小泉は手に取った。
ボロボロになったゴミのような紙片には、
『4、5、新、人』
と消えそうなシャープペンシルの文字で書かれていた。