レッスンはアフターで
だが、それが順一を冷静にさせたようだ。


「お前にとってはな。逆にいうと、お前には愛奈ちゃんだけだろうな」


ニヤリと順一は笑うと、俺の肩をポンッと叩き逃げて行った。


アイツに殴られっぱなしじゃねーか。
しかも俺に質問をさせないように、疑念を抱かないように、態とオーナー風を吹かせて逃げた。クソが!!


俺が女にしたように、去り際に呟いて逃げるか、普通。


「俺、お前の上司。提案は受け付けるが反論は受け付けない。そのなめた口も」


耳元がざわつきキモいし、鳥肌がたつ。ぐうの音も出ない形にされ、苛立ちから壁を叩くも痛みで余計なイライラが増加しただけだ。


俺にとって価値のある女?


もともと女に価値なんて感じたことないが、今までだったら、セックスの相性が合う女だと思う。だが、順一が試したはずはないから違う意味だろう。


価値のある女なんているのか?


順一の意図が読み取れない。企みがわからない。
< 10 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop