レッスンはアフターで
ポカーンと口を開けて、あからさまなため息が容赦なく俺に落とされた。


「そんなオチがあるとはね」


「しゃあないじゃん、興味ないし」


「友達の彼女に興味津々でも困るけどね」


プッと吹き出した女。表情がころころと変わって面白い。


「でもさ、挨拶くらいはしようよ」


「あぁ。悪かったって」


「あんたさ、ちゃんと会話も出来るんだね」


「馬鹿にしてるだろ。出来るけどしないだけだって」


「ふーん。訳ありって顔してただの臆病って感じ?」


「なんだと!?黙って聞いてれば、勝手なこと言いやがって!」


「そう?図星だからムカつくのよ」


ハイと記入が終わった紙を渡されて反論する間を与えられず、紙に目を通した。


その間も、女が言う臆病って言葉が頭からはなれない。


そんなはずないのに、この女を怒鳴ってやりたいのに、心が乱される。


「ん。OK。体験の予約してって。それで問題がなければ、正式に入会で」
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