レッスンはアフターで
今、女に何か言っても不利になるだけだ。


俺は、いたって普通に仕事上の会話を返した。


「体験は、仕事帰りがいいけど。時間的にどうなの?」


「んー、無理ではないが、一時間位は最低でもかかる。それでも大丈夫?」


営業時間は22時まで。もし、ラストまでとなると帰宅も遅くなる。


女だし、順一の知り合いだし……って、どうかしてる。


いつもなら女のこと気にもしないし、帰りに襲われようが関係ないのに。


こんなにも思い通りにならない、心を乱される女にイライラもするが、それ以上にこの女に脅威を感じる。


触れられたくない、核心を揺さぶられそうで。


「大丈夫だけど、仕事が遅くなる日もあるから、どうかな。とりあえず、20時からで空いている日教えて。それと、ゴメンね。あんたのこと知ったように言って。でも、これだけは言える。私は、あんたに興味ないし、好きになることは絶対にない。だから、必要最小限のコミュニケーションはして」
< 22 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop