レッスンはアフターで
順一のにやけ顔にうんざりだ。二人を強調して面白がってろくなもんじゃない。


「何の話してたの?綾香、電話したけど繋がらないって探してるよ」


俺でなく女に声をかけたのは、わざとだ。


ギロッと陰で睨み付けると、またにやけ顔が返ってくる。


うぜー。


「体験の日程調整してて。丁度、来週の金曜日って言われたから断っている最中なの」


「あぁ。だったら、ここ終わってから四人で御飯行けばいいよ」


さらっと言ったけど、順一の魂胆がみえみえ。


それに、この女。今、すげー顔が拒否ってた。そっくりそのまま返してやる。


「へぇ、気が合うみたいだね。俺、四人とは言ったけど、もう一人の名前言ってないよ、二人とも」


ハハハハと楽しそうに笑うが、ちっとも笑えねー。


嵌められた感、満載だ。


「てことで、愛奈ちゃん。体験日決まりね。悪いけど、こいつのリハビリに付き合って!」


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