レッスンはアフターで
「川北さん。後は、引き継ぎするからもういいよ」


背後から聞き間違いであってほしい声がした。


「え?でも……」


「あぁ、彼女は特別だから」


「そ、うですか。失礼します!」


キッと明らかに私に敵対心剥き出しで見てから去って行った。


なんか巻き込まれた感でいっぱいなんですけど。


川北さん同様に、私は柚木を睨み付けた。


「アイツ、誤解しただろうな」


ククッと楽しそうに笑うがちっとも笑えない。


「わかっているなら、そんな言い方やめて」


「そういうけど、ウザいんだよね、あの女。それに、特別なのは事実。オーナーの知り合いなんだから」


楽しそうに笑うのをやめて欲しい。人を、都合よく使わないで欲しい。


「感謝してよね。黙っていてあげたんだから」


「俺が!?逆でしょ。滅多に女につかない俺が引き継がなかったら、延々くだらない説明と社則聞かされていたんだから」
< 29 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop