レッスンはアフターで

何なんだよ！俺。


馬鹿みたいに全速力で走る俺は、自分の行動に驚く。


駆け降りる階段を抜けて、入口に向かう。


ゆっくりと開く自動ドアに気が急いて仕方ない。


再び現れた階段駆け降りて、女の後ろに近づいた。


間違いない。河瀬愛奈だ。少し耳を傾けるとどうやらやり直したいと告白されているようだ。タイミング悪すぎだろ。


聞きたくもない人様の告白だが、無視できない。


順一の焦りようと、後ろから見てもわかるこの女の震えている体。


俺は、紳士的に声をかけ、痴話喧嘩だと言う男を黙らせる為に、こちらも予約が入っていることを告げて正当化して諭す。


少々強引ではあるが、女の連れ出しに成功した俺は、レストランの方を選び連れてきた。


今居る客は、全員女性で、若い会員ばかりだと目で確認する。俺に色目を使ったり、言い寄ってきたりする女が含まれていないことは、確認した。