レッスンはアフターで
「は?山田あ…や?あ…き?どっちだっけ?名前もあやふやなのに勤務先まで覚えているわけねーじゃん」


「はぁ……お前に綾香の名前すら覚えてもらってないとは」


あからさまに不機嫌な態度をとられても覚えていないのだからしょうがない。


「いいか?綾香は山口綾香だ。勤務先は、うちがお世話になっているスポーツ用品メーカーの『YAMATO』。愛奈ちゃんは、綾香のツレとしてきた訳ではなく、招待した専務の代理だ。ちゃんと、専務から電話も受けている。綾香の親友だから、専務も気兼ねなく頼んだらしいし」


だったら、先にその情報くれよ。


俺は、女が俺に何と言っていたのか思い出し、顔を歪めた。


「お前の態度、最悪。俺と綾香の船出の場、どうしてくれんの?ただでさえ愛奈ちゃんは、お前みたいな男、苦手なんだよ。それを、仕事だからきちんと挨拶したのに、何?お前のあの態度。最悪、最低」


思い付く限りの悪口を並べられた。


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