幸せの花が咲く町で
◆優一
穏やかな日々
「行って来ま~す!」
「行ってらっしゃい!
気をつけてね!」
家の前で手を振る母親は、髪もぼさぼさでまだずいぶんと眠そうな顔だ。
そんなことは気にも留めず、息子は笑顔で応える。
僕の右手には小さな手が繋がれて、歩調に合わせてそれが上下に動く。
幼稚園バスの停留所まではほんの数分。
「今日も良い天気だな。」
「うん、洗濯日和だね。」
そんな言葉、一体どこで覚えたのか……
僕は、込み上げる笑いを噛み殺した。
「あ、翔くーん!」
「小太郎くん、おはよう~!」
子供達は、大きな声で挨拶を交わす。
「おはようございます。」
「あ、堤さん、おはようございます!」
すでにそこには、同じように大人に手を引かれた子供達が集まっていた。
「あ、バス来た!」
奥さん達とのおしゃべりは苦手だから、僕はいつもギリギリにそこへ向かう。
今日も抜群のタイミングだ。
バスが着くと、子供たちは慣れた様子でそれに乗り込む。
「いってらっしゃい!」
皆でお見送りをしてから、僕は早足で今来た道を戻って行く。
いかにも忙しそうなふりをしながら……
「行ってらっしゃい!
気をつけてね!」
家の前で手を振る母親は、髪もぼさぼさでまだずいぶんと眠そうな顔だ。
そんなことは気にも留めず、息子は笑顔で応える。
僕の右手には小さな手が繋がれて、歩調に合わせてそれが上下に動く。
幼稚園バスの停留所まではほんの数分。
「今日も良い天気だな。」
「うん、洗濯日和だね。」
そんな言葉、一体どこで覚えたのか……
僕は、込み上げる笑いを噛み殺した。
「あ、翔くーん!」
「小太郎くん、おはよう~!」
子供達は、大きな声で挨拶を交わす。
「おはようございます。」
「あ、堤さん、おはようございます!」
すでにそこには、同じように大人に手を引かれた子供達が集まっていた。
「あ、バス来た!」
奥さん達とのおしゃべりは苦手だから、僕はいつもギリギリにそこへ向かう。
今日も抜群のタイミングだ。
バスが着くと、子供たちは慣れた様子でそれに乗り込む。
「いってらっしゃい!」
皆でお見送りをしてから、僕は早足で今来た道を戻って行く。
いかにも忙しそうなふりをしながら……
< 1 / 308 >